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そのお宿は銀座の一角にありました。
京都や加賀にも宿を構える、「お宿 吉水」。

吉水さんと富士酢の関係は30年にもなるようで、その事実を女将さんから伺いました。富士酢は昭和44年に発売されましたので、今年が36年目。ということは発売して間もない頃からずっと、本当に永いことお世話になっています。

さて、ココの料理は女将が現地に足を運んで選んだ調味料や、農薬や化学肥料を使わずに作った野菜が中心の和風家庭料理です。

その中でも3品目に出てきたお造りがこれ!

吉水3りっぱなアジの酢締めと帆立です。
こりゃあ美味いに違いない。

さっそく生姜を付けていただきます。




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いい塩梅。

青魚は三枚に下ろした後、皮を残したまま身の部分に塩をして置いてから、酢で洗うように漬け込みます。そのときの魚の厚みによって、塩の量や酢に漬ける時間で味が決まるのですが、この締めっぷりはお見事でした。富士酢は他の酢に比べ、旨味のモトであるアミノ酸や有機酸が多いので、その分だけ浸透力が強いのが特徴です。つまり酢締めの時間は短時間で済むのですが、その特徴をうまく捉えて作ってありました。

普段、宮津で新鮮なアジを食べる機会の多い私ですが、アジの酢締めはとても斬新で好物のひとつとなりました。

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帆立は塩で。
帆立のねっとりとした甘みが口いっぱいに広がるのは、やわらかいモンゴル産の塩のお陰でしょうか。

塩の粒子が細かいので、舌にザラつくことなく、すーっとやさしく溶けていきます。帆立には醤油よりも天然塩の方が美味しく感じられました。

その後も、シンプルで素材の味を楽しめるように作られた料理がたくさんでてきました。福井のおぼろ豆腐、大根菜と人参の掻き揚げ、ナスの肉味噌炒め、鰆の塩焼き等等。

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そして、最後にでてきたご飯とお吸い物。

ご飯は和歌山の無農薬新米。それも五分づきのものです。新米のため、少し水分が多かったのですが、茶碗に顔を近づけるとご飯の甘ーい香りが漂います。すぐさま口に運ぶと、新米独特の粘りに顔がほころびます。美味しいご飯を食べて、ますます棚田の稲刈りが待ち遠しくなりました。

銀座の一等地でこんなにほっこりとした気分に浸れ、やさしい料理が食べられるとは。銀座のイメージが変わること間違いなしです。それは料理だけではなく、接客や建物全体の雰囲気など、吉水全体が醸し出すホスピタリティーがそう感じさせるのだと思います。

おいしゅうございました。今度はあの人と行きたい、というように身近な人に紹介したくなるお店です。予約必須。

銀座吉水 http://www.yoshimizu.com/jp/ginza/index.html

コースは3千円と5千円の2つのみ。メニューはありません。ちなみに私がいただいたのは、5千円のコース。

                        五代目見習い 彰浩
料理だけではなく、建物にも様々なこだわりあり。
女将の息子さんが忙しい中、案内してくださいました。

まず、フローリングの床板は竹、珪藻土の土壁。

吉水10ここはエントランス。入ったとたん、和の世界が広がります。












吉水11テレビも電話も冷蔵庫もない、まさに銀座ということを忘れるような空間。

畳は無農薬の井草を使った厚みのあるもの。オープンから2年が経ったようですが、井草の何ともいえない香りに心が安らぎます。布団はオーガニックコットンを使ったもの。

フロア毎、部屋毎に少しずつデザインや素材が異なります。竹を藍染した床板もありました。



吉水12最上階の9階には2つの露天風呂がありました。貸切にもできるようです。

このように細部にわたって女将のこだわりや意志が感じられる造りになっています。

お客さんは当初予測していた外国の方に加え、出張族も多いとのこと。仕事が終わって大きな風呂に入り、落ち着く和室でつかの間の休息をとられるのでしょう。

一番手ごろなお部屋は1万円程度と、この立地や雰囲気からは考えられないほどリーズナブルです。