精米






≪醪造りの工程≫

ざっくりと醪の醸造工程を図にしてみました。ホンマはこんなにワンウェイではなく、途中で麹と掛米(蒸し米)と水と足したり…、と複雑になるのですが、まずは大雑把に、4つの工程に単純化しています。

そして、今回は精米について。現在、日本酒業界でも自社で精米をされているところはほんの一握りです。ほとんどの醸造メーカーは業者にこの作業を委託しています。
自社精米しているところは、大手で資金力があるため大型でコンピューター制御の設備を導入しているところ、もしくは小さくても全て自社で責任を持って造りたい、という信念をもつところ、この2つに分かれるようです。ちなみに私の大好きな味醂メーカー白扇酒造さんも自社で精米されています。

弊社が自分達で精米する理由はただひとつ。契約農家や自分達が作った米を外部に出すことで、万が一すり返られたり、農薬を使って作った米と混ざるというリスクをなくすため。

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≪飯米用精米機≫

酒蔵には2台の古びた精米機があります。おそらく昭和40年頃のモノ。まずは玄米を飯米用の精米機に入れ、10%ほど削ります。ちなみに写真の竹本さんは現役の契約農家であると共に、元飯尾醸造の蔵人として何十年も酢を造って来た人です。祖父が昭和39年に無農薬栽培を農家にお願いして廻った時、いち早く協力してくれたのは彼のお父さんです。遠い親戚でもあります。いまだに精米担当として、お手伝いくださっています。感謝。

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≪酒造用精米機≫

飯米用精米機で精米した後、酒造用精米機に再度かけます。こちらでさらに外側のヌカを落としていくのですが、一般の日本酒のようには白くしません(削りません)。

ちなみに日本酒の名称は精米歩合によっても分類されています。

 本醸造・純米酒 70%以下
 吟醸酒     60%以下
 大吟醸     50%以下

もっと細かくは特別純米だのなんだのとあるのですが、今回は割愛。現在、精米技術の進歩によって、現在は25%前後まで精米された米を使った大吟醸も造られています。つまり、米の外側75%を削っているという、めちゃめちゃ贅沢品なわけです。味よりも香りを楽しむお酒っていう印象がありますが。

話を戻して。なぜ、弊社では日本酒のように白くしないかというと…、アミノ酸の多い、つまり旨味の濃い酢を造りたいからです。米の外側にはタンパク質や脂質が多く、内側には炭水化物が多い。タンパク質が分解されてアミノ酸になるため、米を削り過ぎないことが旨味には重要となるのです。これは、玄米酢・黒酢にアミノ酸が多いことからも明らかです。

精米の原理はというと、石臼と全く同じです。米の通る幅を調整することで精米歩合を決定するのです。旧式の機械ですので、米5俵を精米するだけでも5、6時間もかかってしまう、非常に根気のいる作業です。削り過ぎないように監視したり、出てきたヌカを袋に詰めたり。

ちなみにヌカは無農薬米を作るときの肥料として使っていますんで、全く無駄はありません。ヌカ漬けに使われているヌカは、白米に比べて何倍もの農薬を含みますので、できれば無農薬のものがいいですよ。

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≪精米した米の比較≫

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   ≪玄米≫         ≪75%精米≫

これらの米は、見学に来られた方にお見せするためのものですので、精米してから何年も経っている為、色は若干変色しているかもしれませんが、だいたいの感じはわかっていただけるはず。

富士酢に使う米の精米歩合はいちおう秘密にしておきます。味や香り、コクにも大きく影響する要素ですから。

醪を造っている間、毎日並行して精米の作業も行われます。こんな舞台裏があるのです。

                        五代目見習い 彰浩