≪醪造りの工程その2≫
時間もかけて精米した米は摩擦熱により水分が失われています。よって、「枯らし」と呼ばれる、水分を補う期間が必要となります。といっても水を米に散布するわけではなく、精米後2週間ほど放置することで、自然に失われた水分は戻ってきます。
そして、洗米へと作業は移っていきます。
≪中年選手の洗米機≫
この洗米機は昭和40年代のモノ。精米機と同様にかなり年季の入ったベテラン選手です。この機械を作っているメーカーは潰れてしまったため、部品を取り寄せて交換することができません。また、毎日すごい量の米を洗うこの機械は細かいメンテナンスが非常に重要です。そのため、現在までは精米担当の竹本さんが定期的に機械をバラしてくれるのです。ゴムでできたパッキンなんかはとっくに劣化してしまったため、現在は自作のダンボール製パッキンが装備されています。なんとか動くもんですな。
さて、この精米機の使い方はというと…。
≪米の投入口≫
米を投入します。
≪井戸水で洗米≫
勢いよく流す井戸水と共にらせん状のラインに流れて行き、米同士が擂れることで徐々に洗われていきます。
ちなみに我が酒蔵から出る井戸水は生活排水に侵されていない、京都府の中でも非常に質の高い軟水のようです。保健所の調べでわかりました。そのため、酢の仕込み水もこの酒蔵の水をトラックで運んで使っています。やはり醸造業は水が命!
≪甑(こしき)≫
大量の水と共に甑(こしき)へと運ばれます。甑とは、大きな蒸し器のこと。この甑では10俵(600kg)以上もの米が一度に蒸されます。最近の日本人が一年に食べる米は1俵(60kg)ぐらいのはずですから、大変な量ですな。ちなみに米袋ひとつは30kg。
≪浸漬≫
そして、半日ほど米に水を吸わせた後、水切りを行い、いよいよ蒸しの作業へと移ります。大吟醸などのように50%以上精米した米は、とても水を吸いやすいため、秒単位で洗米・浸漬・水切りを行うようですが、弊社のように精米歩合の低い米はじっくりと水を吸わせます。
この辺りの作業は非常にシンプルでわかりやすい。ただ、精米や洗米など原料の処理如何で、出来上がる醪の質が変ってくるという、地味だけどとても重要な作業なのです。
五代目見習い 彰浩