2006年01月30日

麹の状態は五感で判断

切り返し






≪醪造りの工程その5≫

幾重にも被せた布の中で保温された蒸し米は外側から順番に湿気が飛んで、かなり固くなります。また中心に比べ、外側の温度は若干低いため、温度を均一にする目的としても、「切り返し」そして「仲仕事」という作業に入ります。

この辺りの作業は温度や湿度を感じることがとても重要です。例えば、蒸し米を手で触り、しっとりし過ぎていないか、冷たくないか、また、香りを嗅ぐことで麹菌が正常に繁殖しているか等。

都度の小さな異常に気づき、迅速に的確に対応できる人が名杜氏と呼ばれます。なぜなら、精米の良し悪し、吸水具合、蒸しの状態、麹室への引き込み温度、外気温、湿度などのあらゆる要素が異なる中で、もっとも適した対処法を選択する技術があるからです。

って、偉そうに書いている私ですが、学校で学んだ知識など経験の前では何の役にも立たないのでした。といっても手伝えるところは手伝いますが。

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≪切り返し≫

蒸し米を麹室に引き込んでまとめた後、10時間程度保温すると蒸し米はかなり固くなります。これは中心に向かって湿気が集まり、温度が高くなることに起因しています。

そこで、「切り返し」と言って、この塊をほぐし、さらにまとめることで温度や湿度を均一にすることが目的です。ちなみに、固くなった塊を崩す木の道具の名前は「ブンジ」。

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≪米粒をつぶさないようにほぐす≫

このときに米粒の色もチェックします。

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≪切り返し機でさらに細かく≫

あらかた砕いたら、切り返し機にかけて製麹機に移します(大吟醸などの高級酒は麹箱と呼ばれる木の箱に盛って造られるようです)。

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≪均一な厚みに盛る≫

「ならし」で均一にするのですが、このときの厚み(深さ)は、杜氏の藤本や麹屋の今井が、そのときの米の状態をみながら調整します。例えば、ちょっと温度が高ければ冷めやすいように深さを7センチに、温度が低ければ8センチに、というように。

製麹機にはファンが付いており、麹室内の空気を出し入れすることで蒸し米の温度を制御します。といっても、もちろん万能ではなく、使う人間の判断が要求されます。

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≪仲仕事≫

数時間経つと、また表面が乾いてくるため、手を入れて再度ほぐしてやります。

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≪製麹機で保温≫

温度計を挿してから布をかけて仲仕事終了。

と、このように数時間置きに麹菌の繁殖具合や米の状態をチェックします。経験の少ない職人も、毎日の造りを経験する中で、対処法を身に付けていくのです。温度が高すぎて湿気が足りなかったので破精落ち(はぜおち)した、とか。

一麹・二酛(もと)・三造り。この麹の出来が醪(もろみ)に大きく影響していくのです。今年の飯尾醸造の仕込みは20本ちょっと。2日に一度、同じ作業をする中で身体で憶えていくのです。

日本酒メーカーは様々な種類の酒(普通酒・本醸造・純米・大吟醸など)を造りますが、弊社は同じ酒ばかり造ります。これは1年間に造りを経験する回数が多いことを意味します。よって、1年で得る経験は他の蔵に比べて多いのかもしれません。当の本人はそんな余裕はもちろんないでしょうけど。

                        五代目見習い 彰浩

Posted by iiokome at 21:58