だんだんと気温が高くなってくると、稀にクレームをいただきます。
内容はこんな感じ。

「卓上小瓶に入れておいた酢に白い沈殿物ができていた」

結論から申しますと、これは空気中にいる酢酸菌が混入して、セルロースという物質ができたためと考えられます。瓶詰時には加熱殺菌しますので、このような菌はいませんが、自宅等で開栓された際に、極稀にこのようなことが起こる場合があります。体への害はありませんが、品質が落ち、風味が損なわれる原因になります。

予防策としては、

 1)フタを必ずきっちり閉め、なるべく空気に触れないようにする
  (卓上小瓶等への酢の移し変えはおススメしません)

 2)一度器にとった酢を、再びビンに戻さない

 もし、こんな状態になった酢を発見された場合は、捨ててしまわずに、食用以外の用途にお使いになることをおすすめします。暮らしの中でのお酢の使い方は「おばあちゃんの知恵」のページをご参考ください。

ちなみに、このセルロースをつくる酢酸菌は、こんな用途に使われています。

ナタデココ


















≪ナタデココ≫

90年代に大ブームになったデザート、ナタデココはセルロースをつくる酢酸菌によって造られます。ココナッツミルクの中で培養し、半透明に固まったものを甘いシロップに漬けこんだものです。

それだけではなく、最近では、有機ELディスプレー基盤(携帯電話などの画面部分)への利用が研究されています。今後、ディスプレーを電子新聞などに応用するには、曲げられる基板を低価格でつくることが必要であり、ナタデココ(セルロース)はその可能性を秘めているそうです。

ちょっと意外な酢酸菌の利用法でした。

追記
夏場の間、醤油は冷蔵庫で保管されることをおススメします。なぜなら、醤油中のアミノ酸同士が結合し、老ね香(ひねか)と呼ばれる嫌な香りがでてくるから。
(スペースに余裕があるようでしたら、酢も冷蔵庫で保管ください)

                        五代目見習い 彰浩