掛米の投入


























掛米の投入2


























≪蒸し米をスコップで掘り出す≫

45分かけて蒸し上げた5石(乾燥重量で750kg)のコシヒカリを放冷機へ移します。この作業、暑くて大変。立ち上る蒸気の中での作業に必要なことは、最も力を入れなくていい角度でスコップを入れること。

初めてこの作業をしたときはヘロヘロになりました。スコップを寝かせて米をすくうと確実に腰にきます。できるだけスコップを立てて、柄の先に体重をかけて、ぐっと押し付けます。慣れてくるとなんてことないのですが。とはいえ、毎日の大事な仕事。

掛米の投入3


























≪米をほぐす≫

スコップですくった蒸し米をほぐして冷ます目的で放冷機に入れます。二人で大きなしゃもじを使って。

掛米の投入4


























掛米の投入5


























≪温度のチェック≫

副杜氏の今井が真剣に温度計を挿しています。日本酒の仕込みは温度コントロールが大事、1℃の違いが結果として味や香り、アルコール度数、仕込み日数に大きな影響を与えます。

掛米の投入6

















掛米の投入7


























≪仕込みタンクに投入≫

放冷機で冷まされた米はシューターと呼ばれる大きなホースを通って仕込みタンクに入れられます。このタンクには酒母と呼ばれる発酵のスターター(活発な酵母が増殖した1/10スケールのお酒)、麹米、仕込み水が入っています。そこへ蒸して冷ました米を入れることで酵母の栄養にするわけです。その蒸し米は「掛米(かけまい)」と呼ばれます。

さて、ここで櫂を入れている人物に気づかれた方、あなたはかなりこのブログを読み込んでいただいていますね。そうです、彼は米作りのリーダーである伊藤。冬の時期は酢蔵で『富士ゆずぽん酢』や『富士すのもの酢』の調合を手伝ったり、酒蔵の仕事を手伝っています。

蔵の仕事はチームワークが命。仕事の内容によって、自分がリーダーとして全体をコントロールするとき、他のリーダーのサポートをするとき、と全体最適を考えて行動してくれています。

思い起こせば、私が以前働かせてもらっていた会社の入社試験で、「リーダーシップとは?」という質問を受けました。たしか、「主体性を持ちながら、案件によっては他の人に意思決定を委ねる柔軟性をもっている人。」とか、よくわからないまま答えていたような気がします。また、最初に配属された営業所の所長からは常に、「個人や自分の営業所だけがよければいい、という考えは捨てろ。」と。毎日、数字を追いかける営業という役割(ある意味、同僚もライバル)の中でも「全体最適」の重要性を教えていただきました。退社してから2年以上が経過しましたが、あの会社での4年半はホンマに貴重な時間でした。

掛米の投入8

















≪仕込みタンク≫

掛米(かけまい)を投入して1日経ったタンクには、水を思いっきり吸ってふくれた米が見られます。これが麹の力で日に日に溶けていきます。これからまだ20日以上かかる長丁場。みんな、がんばろう!

                      五代目見習い 彰浩