2009年03月15日

作り手の気持ちとともにいただく和菓子、眠り柿 ずくし

日本には残すべき食材がたくさんあります。野菜や果物の中でも日本古来の品種(和種)、牛や豚なども。調味料や和菓子も然り。

そこで、私が大好きな和菓子をご紹介します。「まつ月」の眠り柿 ずくし。ホンマは、わらび餅も絶品のお店。たぶん、この二品とご主人が看板。日本橋と横浜高島屋の味百選で毎年2回お会いするのですが、そこでいろいろ話を聞くのをいつも楽しみ。これぞ、味百選、と思う話が出てくるとき、いつの間にか売り手から買い手になっているわけで。半纏着てるのに。

さて、こちらの素晴らしいところは、素材への時間と手間の掛け方。昔はこういうお店が他にもたくさんあったのかも知れませんが。例えば、わらび餅は原料であるわらびの根っこを山へ採りに行くところがスタート。葛に比べてわらびの根っこは細いので、量を集めるのは大変だそうな。一度掘るとその場所は20年も掘ることができないそうな。だからこそ、山の地図がたくさんあって、何年にどこを掘ったかが記録されているとか。また、わらびを水にさらして粉にしてから3年以上も寝かせる、なんてことも。ちなみに、70過ぎたご主人は今でも自らが山へわらびの根っこを採りに行かれています。

最近は第6次産業と呼ばれる場面が増えてきました。

農林水産業(第一次)×加工業(第二次)×サービス・小売業(第三次)

1×2×3ってこと。1+2+3ではない。3つとも自分たちでやってるからこその何かが生まれてるはず。これはうちの蔵にも言えること。加工してるだけではわからない何かがあり、加工してるだけでは造れないものが造れる。

そういう意味もあって、私はまつ月のお菓子を誰よりも美味しく感じられるわけです。

眠り柿 ずくし


















眠り柿 ずくし2

























≪眠り柿 ずくし≫

1,365円也。じつはこれを作るのに5年かかるそうな。

原料は、渋柿・砂糖(防腐剤代わりとか)・寒天・パプリカ色素。この渋柿は標高1,000mのところのものだとか。標高によって味が変わってくるとのこと。

農家からわけてもらった渋柿の皮を剥き4つに切って、干す。干す。干す。

ひたすら干す。

もう、俺、ほされたんちゃう? ってくらい。5年も天日に干すそうな。

白い粉を拭いた、まるで柿とは思えないものになります。それを蒸して、3日間かけてつぶすと柿の色が戻ってくる。それを裏ごしして寒天で固めてやっとできあがり。

薄くスライスして、薄めのお茶と一緒に、ありがたくありがたくいただく。少しずつ少しずついただく。柿のやわらかでいて濃い甘みの奥、ずっと奥にある渋み。この渋みがあるからこその美味しさ。渋みの妙とでもいうのでしょうか。

食は知れば知るほど美味しい、というのがまさにこれやなぁと思う。作り手を思いながらの時間を満喫しました。また11月に日本橋でおじさんに会える。そのときまで、この感動をしまっておこう。

                         五代目見習い 彰浩




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