10月末に東京で中華料理を食べました。知り合いの方から、「富士酢を使ってる中華料理屋、すごく美味しいよ」と声をかけていただいたのがご縁。

化学調味料を使わず、野菜などの素材にもこだわりながらも、肩ひじ張らずに楽しめる、素晴らしいお店だったのでした。

ちなみに、この日は予算をお伝えして、お任せのコースをお願いしました。

龍圓


≪ピータン豆腐≫

いきなりこれが出てきてびっくり。ショートグラスの底には細かく刻んだピータン、まっ白い雪のようなのがエスプーマを使った豆腐。このムース状の豆腐、これがまた美味しい。

ホンマに中華料理かいな。

龍圓2


≪カキの老酒漬けの燻製≫

カキの上にはパルミジャーノがかかっています。これがまた絶品。旨みが凝縮されています。その理由はふたつ。

 1.旨みの濃縮

  老酒に漬け、さらに燻製にすることで、脱水するから旨みが濃くなります

 2.旨み成分の三重奏

  カキに老酒、そしてチーズを合わせることで、コハク酸、グルタミン酸、イノシン酸の相乗効果で旨みがぐっと増えるのです

ちなみに、化学調味料といえば、昔はグルタミン酸とイノシン酸でした。しかし、今の日本人の舌にはそれだけでは物足りないようです。もっと立体的で奥行きのある、自然に似せた旨みをガツンと作りたい、と使われているのが蛋白(タンパク)加水分解物や酵母エキス。

蛋白加水分解物はいろんなものから造ることができます。例えば、牛や豚の皮、鶏のトサカや羽など、本来は捨てるようなものからも作られていると聞いたことがあります。作ろうと思えば、人間の髪の毛からでもできます。それらを塩酸と熱で加水分解するとできるわけです。

また、同様に酵母エキスは液体培地(栄養物)の中で酵母菌を培養し、遠心分離機で集菌。ガラスビーズとか超音波で細胞を壊してから酵母自身の消化酵素で分解したものだったはず。私が大学で研究用に菌を集める操作と基本的に変わらないはず。

ちなみにこれらは日本農林規格(JAS)上、食品添加物ではなく食品と定義されています。こんなの聞いたら食べたくなくなりますよね?

スーパーに並んでいる食材のラベルをご覧ください。表面にデカデカと「無添加」とか「添加物不使用」と書かれていても、「蛋白加水分解物とか酵母エキス、アミノ酸等」とか書かれていれば、この類のものが使われているということです。

さらにいえば、「保存料不使用」と書かれていても、pH調整剤が使われていれば、これは長期保存を目的に添加物が使われている証拠。

なんどもお伝えしていますが、この国で自然なもの、安心できるものを手に入れるためには、ユーザーが知識をもつことが必要です。まぁ、ふだんからラベルの裏側を気にしていただけるとだんだんわかってきます。

って、長くなりました。


もちろん、龍圓さんでは、化学調味料などは一切使われておりません。自然な旨みが染み出てくるような調理法と素材の良さで調理されています。

話が長くなったので、他の料理は後日に。

                     五代目見習い 彰浩