仲仕事を終えてから数時間後、また温度や湿度、見た目や香りなどを確かめ、仕舞い仕事をします。

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≪温度を下げる≫

麹室(むろ)に蒸し米を引き込んで24時間以上経つと、麹菌の増殖スピードが上がると共に、温度もどんどん上がっていきます。それを抑えるために、米を並べるときの表面積を増やすのです。

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≪仕舞い仕事≫

温度や湿度を均一にするため、また手を入れてやります。そして、同じ厚さに戻してやるのです。これが仕舞い仕事。麹ができあがりに近づくと、栗香(くりか)と呼ばれる独特の香りが出てきます。これが、よい麹の証し。

そして、また数時間後、いよいよ出麹。

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≪出麹≫

できあがった麹を出麹室?に出します。丸2日にわたる作業ですが、「ながかったなぁー」とは全く感じません。なぜなら、この作業は毎日のルーティンだから。

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≪できあがり≫

この麹は翌朝、仕込みタンクに放り込みます。それまでの時間、温度を下げ、水分をとる目的で広げておくのです。麹菌の菌糸が米粒の内部までしっかり入り込んだ証しがこの白さ。米を蒸した直後の透明感のある色とはまったく違います。

精米杜氏であり契約農家の竹本さん手製のトンボ(のような道具)で、模様をつけながら広げていきます。最後に、トンボを裏返してチョンチョンと麹にひとつ、2つ、もしくは3つの線をつけます。この本数で、どのタンクに入れる麹かがわかるわけ。1本なら添、2本なら仲、3本なら留。

日本酒の仕込みは三段仕込みといって、原料(麹、蒸し米、水)を3回に分けて投入するのです。その順番を、初添(添)・仲添(仲)・留添(留)と呼んでいます。日本酒の醸造工程は説明が難しい。でも、それ以上に、ええ酒を造るのはもっともっと難しい。

とはいえ、いつも私が作業しながら撮影するのではなく、プロのカメラマンに撮ってもらったので、これまでよりもかなりわかりやすいはず。飯尾醸造にとっても、酒蔵のみんなにとっても貴重な財産となりました。

                   五代目見習い 彰浩