バタバタしている間に2か月も経ってしまいましたが、ぼちぼち報告したいと思います。まずは、イタリアでも5、6人しか作っていないというまぼろしのパスタ、フィリンデゥ。このパスタはサルデーニャ島のある地域の郷土料理なのですが、日本では、知っている方は少ないのでは?

そんなパスタづくりを見せてもらいました。

まずは、セモリナ粉に水を加えて練っていきます。そこに飽和状態の食塩水をちょっとずつ指につけて、さらに練っていくのです。

フィリンデゥ


≪こねる≫

本業は、クッキーなどのお菓子屋さんだそうですが、粉つながり。このおばあちゃんが伝統を守っています。

コシがでてきたら、のばしていきます。

フィリンデゥ2


フィリンデゥ3


フィリンデゥ4


≪のばす≫

1本が2本、2本が4本、4本が8本…、と数えていると、1024本か2048本くらいまでのばします。中華麺の作り方にそっくり。簡単そうに見えますが、塩のあて方によって、うまくのびないこともあるようです。その場合は再度、塩水をつけてこねていきます。その日の温度や湿度によっても微妙に異なるようです。

これをユリ科で編んだ平たいカゴに貼付けていく、っていうのが面白い!

フィリンデゥ5


フィリンデゥ6


≪貼り付ける≫

3層になるまで、同じ作業を繰り返します。

フィリンデゥ7


フィリンデゥ8


フィリンデゥ9


≪天日干し≫

ちなみに、フィリンデゥとは「神の糸」を意味するとか。パスタの名前、なんかかっこいいですよね。他にも、冷製パスタに使う極細のものをカペッリーニ(天使の髪の毛)というのもありますし。

では、どのように食べるかというと、茹でずに食べます。

フィリンデゥ10


≪スープパスタ≫

パリパリと手で割ったら、茹でずにブロード(出汁)で煮るのです。しかも、この地域が内陸であることから魚介のブロードを使うことはないとのこと。子羊か野菜のブロードで煮た後は、酸味のあるフレッシュチーズ(羊)を加えてできあがり。

トゥルンっとした食感が心地よい、なんとも贅沢なパスタ。中華のワンタンや他ヴィオリに近いのですが、表面の凹凸がある分、スープがよく絡み、舌に伝わる感じが複雑でおもしろい。すごく貴重な食体験をさせていただきました。いつまでも、このすばらしい伝統的なパスタ作りが続きますように。

                   五代目見習い 彰浩