飯尾醸造は明治26年の創業から今年、120年目を迎えます。

初代、長蔵から長之助、輝之助、そして昨年6月に父、毅からバトンを渡してもらいました。先祖が酢造りというひとつの仕事を続けてきたことをありがたく、そして誇りに思います。その意味においては感謝しております。

とはいえ、京都には生業を300年、400年と続けれ来られてたところがたくさんありますし、先祖への感謝ということを除けば、創業についてそれほどの想いはありません。創業が長くても今、ええもん作っていないところより、短くても今、ええもんを作っているところを尊敬しています。

一方で、原料米の無農薬栽培50年には特別な想いがあります。

昭和30年代の高度成長期、祖父、輝之助がなぜ無農薬栽培を決意したかについては、こちらをご覧いただきたいのですが、50年前と違うのは、契約農家だけでなく、私たち蔵人も米作りをしているということ。これは10数年前、父、毅が大きな決断をしたことが始まりです。

農家さんが年取って米作りできへんようになったから、みんなで一緒にやってくれんか


という一言に対して、蔵人みんなが「やります」と手を挙げてくれたから。そして今、お客さんや取引先の皆さんなど、たくさんの方に手伝っていただいて、この棚田が維持・保全できています。行政の補助なしに。

棚田からの眺め


≪宮津市松尾にある無農薬栽培の棚田≫

奇跡の一枚、と呼んでいるこの写真は、取引先の方々が田植えの応援に来てくださったとき、お弁当を食べながら撮りました。

これからもこの景色を守ることで、お客さんも農家さんも取引先さんも蔵人も地元・宮津も、みんなが幸せになれるような、そんな仕事を楽しみたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

     五代目 彰浩