春になると子供のいる蔵人達は、卒業や入学引越し等で休日も関係なくバタバタしているなんて話を休憩時間よく耳にします。クラブ活動をしている子の送り迎え、塾帰りのお迎えや一年中何かしら子供に関わっていて、子供の為に一所懸命なみんなの姿を見て大変だなぁという気持ちと、それ以上に素敵だなぁという気持ちになります。

私には子供が居ません。
ですが今年はそんな気持ちを少し味わう体験をしました。

私には長い間あたためていた夢がありました。飯尾醸造の蔵人と田植え稲刈り体験会に来てくださったお客様達で作ったお米だけの醪を仕込みたいという夢です。試験的なので極少量ではありますが今回はそれを実現する事ができました。
育醪01
育醪02
育醪

この醪は富士酢用とは少しだけ違う仕込み方をしたのですが、暖冬だったので温度管理にとても苦労しました。そう、過保護と言い切れるくらいつきっきりで育てました。
どの様にすればこの米の良いところを引き出してやれるのか。答えの無いなか手探りで、ずっと考え、見守り、育てるって本当に大変な事だなとあらためて感じました。
まだ成長過程の醪ですがどんな大人になるのか不安と楽しみが入り混じって複雑な気持ちです。

子を持つ親の気持ちが少しは理解できる様になったかも。


醪造り担当 藤本