お世話になっております、タイトルセンスに疑惑の目が向けられている蔵人の三原です。

弊社の業務は米作りから出荷、事務方まで、どの部門も大切な仕事をしておりますが、お酢屋ならではの仕事がございます。
その一つが、酸度測定、であります。

お酢というものは、ほったらかしておけばできるという物ではございません。
いや、発酵それ自体は酢酸菌頼りなので、人が発酵させるわけではないのですが。
しかし! 酢酸菌だって働きやすい環境の方が幸せなのです。
いい加減に放置していると元気がなくなって発酵しなかったり、逆に発酵しすぎてとんでもないことになる可能性もございます。

そんな訳で、定期的に発酵の状態を見る必要があるのです。
菌膜の様子や、菌にとって快適な温度であるかなど。そしてどの程度発酵が進んでいるか確認するために、酸度測定を行います。

酢酸菌は醪(お酒)のアルコールを酸に変えるため、発酵すれば酸度が上がります。(酒飲むのが仕事だなんて、私は酢酸菌に生まれればよかったのでは?)
その酸度を測ることで、発酵具合を確かめるのです。

ではどうやって酸度を測るのか。
規定量のお酢(酸性)にフェノールフタレイン溶液をまぜ、水酸化ナトリウム水溶液(アルカリ性)を反応させるのです。
中和するとうっすら赤くなるので、そこまでに入れた水酸化ナトリウム水溶液の量から酸度を算出します。
文系には辛い理科の実験であります。

さて、今回測定するお酢はこちら
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右が純米富士酢、左が赤酢です。

純米富士酢の場合、これが

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こうなります。

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ビーカー下部の白いのは液をかき混ぜるための回転子(磁力で回る)です。
写真だと分かりにくいですが、肉眼だとうっすら赤くなっているのが分かります。
因みに2、3滴ほど行き過ぎるとこう。

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ここまで行くと誤った数値がでるので、こうならないよう、微妙な変化に気づかなければなりません。
それでも純米富士酢はわかりやすいのですが、問題は赤酢。
これが

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こうです。

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写真で見ると分かりにくいですが、肉眼で見てもさっぱり分かりません。
和田先輩や相見大先輩はこれでもう変わっていると主張されますが、私は初めて見た時ほんまかいなと思ってしまいました。
赤酢はその名の通り赤黒いお酢です。赤いものを赤く反応させるので、物凄く見にくいのです。
少しでも見やすくするため、水を加えて色を薄めたり、光の加減を調節したり、涙ぐましい努力をしております。

そして私が本気で測定してやらかしたのがこちら。

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色の濃さの違いがお分かりでしょうか。
肉眼ならはっきり分かって頂けるかと思います。
ほんの数滴入れ過ぎただけでこれであります。


嘘です。数滴以上入れちゃっています。
私はもう自分の目が信用できません。

因みにもっと入れるとこうなるので、さすがによく分かります。

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こんな風に、太陽みたいに真っ赤っかにしていたらお話にならないので、もっと目を鍛えるか見やすくする方法を考えようと思います。

蔵人 三原