醪(酒のようなもの)の半分量の種酢を加え、酢酸発酵に適した温度に調整します。香りはというと、アルコールと酢の混ざったキツくてイヤな感じです。これが数ヶ月後にはおいしくなるとは思えない…。まぁ、昆虫で言えば、キレイな蝶になる前の地味なサナギといったところでしょうか。
種酢とは、すでに出来上がっている酢のことで、発酵時のスターターの役割を果たします。発酵スタート時の酸度やpHを下げることから、雑菌が生育できなくて酢酸菌が発酵しやすい環境を整えることが目的です。
そして、酢酸菌の膜を他のタンクからそーっと移植してやります。
この膜が2、3日で液面全体に広がり、酢酸菌はアルコールを酢へと変化させます。今回は150リットル程度と、かなり少量の仕込みですので、3週間程度でお酢ができるはずです。
あとは酢酸菌が呼吸できるように、タンクとフタの間にカマボコ板を挟んで、毛布をかけて終了。
そうして出来上がった酢をまた種酢にして、2倍量の無花果醪を加え、また酢酸発酵を行う、といった風に少しずつ量を増やしていきます。地味な作業を何回も繰り返して、一年分の無花果酢を造ります。
この部屋は40度近くになるように調整していますので、写真を撮るだけで汗だくだくになってしまいました。
五代目見習い 彰浩