白扇酒造見学白扇酒造見学2






≪白扇酒造 本社蔵≫

先日の日本橋高島屋 味百選でご一緒させていただいた白扇酒造さんに伺いました。このブログで何度も紹介しているように、私は『福来純三年熟成みりん』の大ファンでした。と過去形にしたのは、白扇酒造の大ファンに心変わりしてしまったから。

社長様に本社蔵で日本料理や、みりんのルーツとなった酒が日本に伝来した歴史などを試飲と共にわかりやすく教えていただきました。その中で、酢の歴史についてももう少し勉強する必要性を大いに感じました。やはり調味料と日本料理の変遷は抑えておくべき、でした。

白扇酒造さんは、みりんの他にも日本酒や米焼酎も醸造されている、極めてレアな蔵です。そして、蔵をご案内いただく中で、その真摯な造り方に何度も驚くことになるのですが、はっきりいってココまで丁寧にされているとは…。

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≪麹室≫

室(むろ)にまで入れていただきました。
麹室は日本酒を始めとしたお酒の発酵で最も大事な工程を行う場所です。一般的には、テレビや雑誌の取材であっても入室の許可が出ることは極稀です。杉板でできた室には現在、みりんのための麹が造られていました。日本酒用の麹とは全く違うものだそうです。

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≪みりん圧搾のための搾り槽≫

これが白扇さんのみりん醸造の要のひとつかも知れません。
その使い方は、ホームページにて詳しく紹介されていますが、最も苦労されているのがみりん粕の残った酒袋と呼ばれる袋を洗浄することのようです。弊社でも『富士玄米酢』を搾り槽で圧搾した後の酒袋の洗浄には大変な時間や手間がかかっていますが、みりんは糖分を豊富に含むといった性質から、酢に比べてもその洗浄が非常に困難かつ重要です。そのあたりの苦労はなかなか消費者には伝わらないと思います。

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≪斗瓶囲い用のラック≫

これは日本酒用の道具。

大吟醸など特別なお酒のうち、さらに高品質な商品として出荷する際に、搾り槽などの圧搾機を使わずに、酒袋を吊るして自然落下してきたお酒をこのガラス容器で受けるのです。たくさんの量を造れない、手間のかかる手法です。

白扇さんは弊社よりも規模は大きいのですが、これだけ丁寧にひとつひとつの作業をされていることに感銘を受けました。正直、弊社よりも規模が大きいところで、全ての商品に対して実直な造り方をすることは困難であると考えていました。

例えば、「うちの蔵は○○のように造っています」といっても、実際は1割だけイメージ戦略としてやっており、他9割は簡便な方法、というのが常識である醸造業の世界で、白扇さんのような蔵は唯一無二ではないかと想像しております。しかも3年間熟成させたみりんが看板商品という、「Just in Time」と対極を成す経営は、一般の企業の経営者からは信じがたい事実であるのでは?

本当に貴重な時間でした。今度はぜひ弊社にお越しいただきたいと思います。ありがとうございました。

                         五代目見習い 彰浩