日本で、いや、おそらく世界でも飯尾醸造でしか造っていないと思われる『黒豆酢』の仕込み。

この『黒豆酢』の特徴は、「アミノ酸がびっくりするほど多い」こと。中国の香酢よりも多いため、お客様から、「出汁が入っているの?」と聞かれることもしばしば。なぜなら、アミノ酸は旨味であるから。

原料は丹波と丹後で作った黒豆。北海道産の黒豆は丹波の1/3、中国産はもっともっと安い価格で手に入れることができますが、弊社では、地元の京都産にこだわっています。

日本の大豆自給率が4%を割った現在、豆腐も納豆も味噌も、その原料のほとんどは中国、アメリカ、南米産。安いからこそ、安全性や味には「?」が。ちなみに納豆や豆腐などのパッケージに、「国産大豆使用」と書いてあるからといって安心してはいけません。なぜなら、その商品の中に一粒でも国産大豆が入っていれば、そのような表示ができるから。なんともばかげた話ですが。

黒豆酢もろみ黒豆酢もろみ2













≪甑から取り出す≫

年に一度の仕込み、黒豆から黒豆もろみ(酒)を造ります。この仕事は、酒蔵で一年分の『富士酢』『富士玄米酢』もろみ(酒)の仕込みが終わった後に行います。言うなれば、杜氏や蔵人の疲労がピークになったタイミングでの過酷な仕事。

米から純米酒を造るのと同様、まずは黒豆を井戸水で洗浄後、浸漬(水に半日ほど漬ける)。そして甑(こしき:蒸し機)で柔らかくなるまで蒸します。

蒸し上がった黒豆を均等に広げ、冷ましていきます。

黒豆酢もろみ3黒豆酢もろみ4













≪放冷中≫

原料が黒豆とはいえ、あくまでお酒の仕込みですので温度管理にはすごく気を使います。それにしても、ふっくらツヤツヤの黒豆、これを見ているだけで正月気分に。

と、のん気なことを考える余裕もなく、これからがキツイ仕事。

なんて、いかにも大変そうに書いている私、実はデパートの催事に行っていたため、この仕事は一切していません。どれだけ大変なのか、それは次回につづく・・・

                       五代目見習い 彰浩