弊社には蔵が二つあります。一つはもちろんお酢を造る酢蔵。もう一つは醪蔵(もろみくら)。醪とは聞きなれない言葉ですよね。パソコンの文字変換でもなかなか出てきません。実はこれお酒そのものなのです。ですが、お酒として世に送り出すのではなく、全量をお酢の原料として使用します。これを醪と呼んでいます。
昨年までこの醪蔵では『純米富士酢』『富士玄米酢』などお米を原料とする醪や、『紅芋酢』『黒豆酢』など野菜を原料とする醪だけを造っていました。果物を原料とする『無花果酢』『赤わいん酢』などの果実酢は少量の仕込でしたので、酢蔵を間借りしていたのです。ですが、果実のお酢をご支持いただけるようになり、年々仕込が大きくなってきましたので、今年から全ての醪を醪蔵で造ることにしました。

醪蔵からは車で15分程。トラックで運び、醪蔵杜氏の藤本から酢蔵杜氏の相見=私にバトンタッチされます。

醪の見た目はやや赤みが掛かった薄茶色。甘い香りが一段と強く広がります。この醪、仕込水を全く使わない正真正銘無花果の水分だけ(+酵母)という濃厚で贅沢なもの。良いお酢を造らねば!気合が入ります。


二つの木桶を使い醪を搾り袋に半分ほど注いでいきます。これで大体7リットル。二人の息を合わせてこぼさないように。片方の木桶は口先が尖っていて、袋の口に入りやすいようにしています。通称キツネと呼ばれています。



袋の口は空いていますので、こぼれないように横向きに置くにはコツが必要です。
先ず、口を広げた状態で徐々に袋を倒していき空気を抜きます。抜けたら人差し指と中指で袋を挟み、液面のところで手前に折り返します。更に折り返しと袋の口との中間点まで指をスライドし、今度は奥に折り返し、袋を置きます。
これを1段に13個、竹との隙間を交互に空けながら並べ14段に重ねたら、重石を乗せます。ここまでで2時間ほど掛かります。

袋を重ねた状態で自然に醪が滲み出てきます。お酒で言うところの荒走り。最初は濁りがあります。

重石を乗せしばらくは自然に搾られていくのを待ちます。液量が落ちてきたところで櫂を締め上げていきます。前半は袋が弾けてしまわないよう、一人でゆっくりと圧を掛けていきます。その塩梅は、袋から醪が滲み出る音が頼り。後半は人数を増やし、息を合わせて全力で搾っていきます。

力を掛けると濁りが増えそうですが、実際にはその逆、澄んでいます。

搾った醪をタンクに移動し、種酢となる去年仕込んだ無花果酢を加えます。表面の温度を酢酸菌の働きやすい40度まで上げ、そーっと酢酸菌膜を浮かべます。約1週間で酢酸菌が増殖し、表面が白く覆われてきます。

木蓋を閉め、ムシロでタンクの上を覆います。これで仕込段取はひとまず完了です。3日に1度、温度、酸度、膜の状態を確認し、酢酸菌が働きやすいように、蓋の開度やムシロを調整していきます。実はここからの数ヶ月の発酵期間が一番気を使います。
酢蔵杜氏 相見
昨年までこの醪蔵では『純米富士酢』『富士玄米酢』などお米を原料とする醪や、『紅芋酢』『黒豆酢』など野菜を原料とする醪だけを造っていました。果物を原料とする『無花果酢』『赤わいん酢』などの果実酢は少量の仕込でしたので、酢蔵を間借りしていたのです。ですが、果実のお酢をご支持いただけるようになり、年々仕込が大きくなってきましたので、今年から全ての醪を醪蔵で造ることにしました。
醪蔵からは車で15分程。トラックで運び、醪蔵杜氏の藤本から酢蔵杜氏の相見=私にバトンタッチされます。
醪の見た目はやや赤みが掛かった薄茶色。甘い香りが一段と強く広がります。この醪、仕込水を全く使わない正真正銘無花果の水分だけ(+酵母)という濃厚で贅沢なもの。良いお酢を造らねば!気合が入ります。
二つの木桶を使い醪を搾り袋に半分ほど注いでいきます。これで大体7リットル。二人の息を合わせてこぼさないように。片方の木桶は口先が尖っていて、袋の口に入りやすいようにしています。通称キツネと呼ばれています。
袋の口は空いていますので、こぼれないように横向きに置くにはコツが必要です。
先ず、口を広げた状態で徐々に袋を倒していき空気を抜きます。抜けたら人差し指と中指で袋を挟み、液面のところで手前に折り返します。更に折り返しと袋の口との中間点まで指をスライドし、今度は奥に折り返し、袋を置きます。
これを1段に13個、竹との隙間を交互に空けながら並べ14段に重ねたら、重石を乗せます。ここまでで2時間ほど掛かります。
袋を重ねた状態で自然に醪が滲み出てきます。お酒で言うところの荒走り。最初は濁りがあります。
重石を乗せしばらくは自然に搾られていくのを待ちます。液量が落ちてきたところで櫂を締め上げていきます。前半は袋が弾けてしまわないよう、一人でゆっくりと圧を掛けていきます。その塩梅は、袋から醪が滲み出る音が頼り。後半は人数を増やし、息を合わせて全力で搾っていきます。
力を掛けると濁りが増えそうですが、実際にはその逆、澄んでいます。
搾った醪をタンクに移動し、種酢となる去年仕込んだ無花果酢を加えます。表面の温度を酢酸菌の働きやすい40度まで上げ、そーっと酢酸菌膜を浮かべます。約1週間で酢酸菌が増殖し、表面が白く覆われてきます。
木蓋を閉め、ムシロでタンクの上を覆います。これで仕込段取はひとまず完了です。3日に1度、温度、酸度、膜の状態を確認し、酢酸菌が働きやすいように、蓋の開度やムシロを調整していきます。実はここからの数ヶ月の発酵期間が一番気を使います。
酢蔵杜氏 相見
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