このブログで何度もご紹介している、新横浜のHANZOYA。実は先日初めてディナーに伺いました。日ごろから親しくしていただいている皆さんと総勢9名で10,500円のコースをいただきました。
≪アミューズ≫
左から鴨の燻製、柿のスープ、クロワッサン。写真では見えませんが、鴨の下には赤わいん酢を使った野菜の付け合せが。クロワッサンにはアンチョビが練りこまれていました。そして、素晴らしかったのが柿の冷製スープ。渋抜きしてトロトロになった柿のサラサラとやさしい甘味。
≪ずわい蟹の≫
築地で活きてる蟹を仕入れて、うすーく固めてあります。緑色がきれいなソースは蟹味噌にういきょう(フェンネル)、クリームだとか。ソース・アメリケーヌをアレンジしてあります。ミソのほろ苦さと甲羅の旨味いっぱいのソースを自家製バゲットにつけて、残らずお腹に入れました。これ、絶品!
≪野菜サラダ≫
ほんのり温かい位に火が通してある野菜の味の濃さ。このからくりは、技術のある農家さんに教えを請いながら、自社農園で栽培したからだそうです。野菜嫌いの人にこそ食べてもらいたい。
≪フォアグラ3種≫
テリーヌ、ブリュレ、スープ。テリーヌの周りにあるサクサクのジャガイモの食感も捨てがたいのですが、パンに塗ったブリュレの美味さには舌を巻きました。普段は極力、パンを食べないようにしているのですが、こちらのお店では結局三、四度、おかわりしてしまったほど。ただ、あくまでフォアグラを売りにするようなお店ではありませんので。
≪甘鯛のソテー≫
300g以下を指定して買い付けるという甘鯛は低温で鱗のついた皮目にじっくり火を通すことで、さっくさくの鱗としっとりした身の二つの食感が楽しめます。それはそうと、付け合せのタマネギがすごかった。4月ごろに出てくる新タマネギを半年間寝かせることで甘味を引き出しているそうな。おそらく、それを低温のオーブンの中に入れて、じっくり(1時間ほど?)火を通すことで更に甘味と旨味が増幅されています。「うちの野菜はそれだけでメインになるような素材を使っています。」という言葉に偽りなし。
≪林檎のシャーベット≫
口直しに。シャーベットというか、凍らせた林檎を薄くスライスしただけ。林檎に含まれる糖の40%は果糖ですので、冷やすことでα型からβ型に変化し甘味が増します。林檎を冷やして食べるってのは、ちゃんと理に適っているわけです。
≪鹿のロースト≫
トロットロに熟成した鹿肉も美味しいのですが、付け合せの「すぐき」にびっくり! 冬の京都の代表的な漬物である「すぐき」はカブ科の野菜ですが、そのほとんどは漬物として使われているはず。室(むろ)と呼ばれる部屋で樽に入ったすぐきは乳酸発酵することでしっかりとした酸味を楽しむことができます。それをグリルすることでクリーミーでありながらさっぱり、という相反する味を体験させていただきました。個人的には鹿よりもトリュフよりも美味でした。
≪チーズのワゴンサービス≫
フランス産のチーズを好きなだけ。ソムリエの石田さんがひとつずつ説明しながらリクエストに応えてくれました。24ヶ月熟成のミモレット、「チーズの王様」ブリー・ド・モーなど。
≪モンブラン≫
これがまた素晴らしかった。軽いマロンクリームとガナッシュのコク、同席した皆さんの食べるスピードといったら・・・。
岡田製糖所の和三盆と共にいただくコーヒー。和三盆って、信じられます? 最後にオリジナルハーブティーをいただいて終了。
さて、HANZOYAがこれだけ素材にこだわりながら、10,500円という価格でこのコースを提供できる理由とは? あくまで推測ですが・・・。
1.家賃を支払う必要がない
HANZOYAさんは自社ビルで営業されているため、毎月の家賃はありません。もちろん、ビルの建設費用は銀行などの借り入れをされているはずですが、減価償却費として計上できることから、そこで浮いたお金を材料費または研究費(食材調達のための旅費や農園維持費等)に使うことができるはず。そして、また素晴らしい材料を手に入れてさらに美味しいものを作る、というように美味しさのスパイラルが発生しているような? この料理を銀座で食べたとしたら倍の料金はとられるはず。
2.ブランド食材に執着しない
これは安物を使っているという意味ではありません。自分達が探し出した滋味あふれる食材を多様することで、一般的に使われている高価な食材に頼る必要がないということ。もちろん、肉や魚などもええものを使っていらっしゃいますが、ウチはそんなに高い材料は使ってませんから」と言い切るところが男前です。当蔵の酢や和三盆、山中油店のオリーブオイルなど、素材や調味料にはこだわりつつも、いろんな情報を鵜呑みにして買い付けるのではなく、自らが「これは!」と思うものを直接仕入れるからこそ、です。
価値>価格 のいい例となるレストラン。とはいえ、コストパフォーマンスだけでなく、サービスの素晴らしさも。お皿ごとに素材や調理法の詳細な説明をしてもらえることで、脳がより美味しく感じるのだと思います。もちろん、会話を邪魔しないように、という配慮がありますので、詳しい説明を希望される方は予約の際に一言添えておかれることをおススメします。
私が尊敬するオーナーシェフ、ソムリエ、サービスマン、仕入れ担当の皆さんのお店でした。
五代目見習い 彰浩
≪アミューズ≫
左から鴨の燻製、柿のスープ、クロワッサン。写真では見えませんが、鴨の下には赤わいん酢を使った野菜の付け合せが。クロワッサンにはアンチョビが練りこまれていました。そして、素晴らしかったのが柿の冷製スープ。渋抜きしてトロトロになった柿のサラサラとやさしい甘味。
≪ずわい蟹の≫
築地で活きてる蟹を仕入れて、うすーく固めてあります。緑色がきれいなソースは蟹味噌にういきょう(フェンネル)、クリームだとか。ソース・アメリケーヌをアレンジしてあります。ミソのほろ苦さと甲羅の旨味いっぱいのソースを自家製バゲットにつけて、残らずお腹に入れました。これ、絶品!
≪野菜サラダ≫
ほんのり温かい位に火が通してある野菜の味の濃さ。このからくりは、技術のある農家さんに教えを請いながら、自社農園で栽培したからだそうです。野菜嫌いの人にこそ食べてもらいたい。
≪フォアグラ3種≫
テリーヌ、ブリュレ、スープ。テリーヌの周りにあるサクサクのジャガイモの食感も捨てがたいのですが、パンに塗ったブリュレの美味さには舌を巻きました。普段は極力、パンを食べないようにしているのですが、こちらのお店では結局三、四度、おかわりしてしまったほど。ただ、あくまでフォアグラを売りにするようなお店ではありませんので。
≪甘鯛のソテー≫
300g以下を指定して買い付けるという甘鯛は低温で鱗のついた皮目にじっくり火を通すことで、さっくさくの鱗としっとりした身の二つの食感が楽しめます。それはそうと、付け合せのタマネギがすごかった。4月ごろに出てくる新タマネギを半年間寝かせることで甘味を引き出しているそうな。おそらく、それを低温のオーブンの中に入れて、じっくり(1時間ほど?)火を通すことで更に甘味と旨味が増幅されています。「うちの野菜はそれだけでメインになるような素材を使っています。」という言葉に偽りなし。
≪林檎のシャーベット≫
口直しに。シャーベットというか、凍らせた林檎を薄くスライスしただけ。林檎に含まれる糖の40%は果糖ですので、冷やすことでα型からβ型に変化し甘味が増します。林檎を冷やして食べるってのは、ちゃんと理に適っているわけです。
≪鹿のロースト≫
トロットロに熟成した鹿肉も美味しいのですが、付け合せの「すぐき」にびっくり! 冬の京都の代表的な漬物である「すぐき」はカブ科の野菜ですが、そのほとんどは漬物として使われているはず。室(むろ)と呼ばれる部屋で樽に入ったすぐきは乳酸発酵することでしっかりとした酸味を楽しむことができます。それをグリルすることでクリーミーでありながらさっぱり、という相反する味を体験させていただきました。個人的には鹿よりもトリュフよりも美味でした。
≪チーズのワゴンサービス≫
フランス産のチーズを好きなだけ。ソムリエの石田さんがひとつずつ説明しながらリクエストに応えてくれました。24ヶ月熟成のミモレット、「チーズの王様」ブリー・ド・モーなど。
≪モンブラン≫
これがまた素晴らしかった。軽いマロンクリームとガナッシュのコク、同席した皆さんの食べるスピードといったら・・・。
岡田製糖所の和三盆と共にいただくコーヒー。和三盆って、信じられます? 最後にオリジナルハーブティーをいただいて終了。
さて、HANZOYAがこれだけ素材にこだわりながら、10,500円という価格でこのコースを提供できる理由とは? あくまで推測ですが・・・。
1.家賃を支払う必要がない
HANZOYAさんは自社ビルで営業されているため、毎月の家賃はありません。もちろん、ビルの建設費用は銀行などの借り入れをされているはずですが、減価償却費として計上できることから、そこで浮いたお金を材料費または研究費(食材調達のための旅費や農園維持費等)に使うことができるはず。そして、また素晴らしい材料を手に入れてさらに美味しいものを作る、というように美味しさのスパイラルが発生しているような? この料理を銀座で食べたとしたら倍の料金はとられるはず。
2.ブランド食材に執着しない
これは安物を使っているという意味ではありません。自分達が探し出した滋味あふれる食材を多様することで、一般的に使われている高価な食材に頼る必要がないということ。もちろん、肉や魚などもええものを使っていらっしゃいますが、ウチはそんなに高い材料は使ってませんから」と言い切るところが男前です。当蔵の酢や和三盆、山中油店のオリーブオイルなど、素材や調味料にはこだわりつつも、いろんな情報を鵜呑みにして買い付けるのではなく、自らが「これは!」と思うものを直接仕入れるからこそ、です。
価値>価格 のいい例となるレストラン。とはいえ、コストパフォーマンスだけでなく、サービスの素晴らしさも。お皿ごとに素材や調理法の詳細な説明をしてもらえることで、脳がより美味しく感じるのだと思います。もちろん、会話を邪魔しないように、という配慮がありますので、詳しい説明を希望される方は予約の際に一言添えておかれることをおススメします。
私が尊敬するオーナーシェフ、ソムリエ、サービスマン、仕入れ担当の皆さんのお店でした。
五代目見習い 彰浩
コメント
コメント一覧
お料理写真がとっても美味しそう・・・ぜひ1度伺いたいです。
それにしても写真の撮り方がお上手!
気に入っていただけると思います。