先週の土曜日、食生活ジャーナリストの会主催のシンポジウムに参加してきました。

パネラーは下記の皆さん。
東京大学大学院農学生命科学研究所教授 生源寺眞一
農林水産省大臣官房参事官 塩川白良
農業者 長島勝美

1時からスタートしたシンポジウム。最初は三人の方がそれぞれの立場、視点で自給率の変遷や現状、課題などを報告されました。例えば…

・1965年には73%あった自給率は2007年には39%に

・自給率はふたつのステップで低下してきた
 (80年代までは食生活の欧米化、その後は農家の減少が大きな要因)

・畜産のエサである穀物の輸入は自給率低下の大きな要因である
 (日本人の肉の摂取量が増えたことも)

・1kgの牛肉を得るためには11kgの穀物が必要である

・団塊の世代が余暇を利用して野菜を作っていることが、直売所などで専業農家のそれと価格競争になっている

・日本の農業教育が栽培方法のみであるのに対して、欧米ではマネジメント方法のみ
 (販売を農協に任せることが当たり前であったため)

などなど、いろんなお話があり、勉強になりました。中でも、長島さんの「団塊の世代の人たちが休耕地を利用して家畜用の穀物を作ることができれば…」という言葉には納得してしまいました。

その後のパネルディスカッションでは、質問ではなく意見を延々と10分以上も話し始める人がいたり、ぐずぐずになってしまったことは残念でした。

私個人としては、消費者への情報開示を強化することが結果的に自給率のアップにも繋がるのでは、と考えています。具体的には、加工食品になってしまうと原産地表示がすごくゆるいため、国産のものを欲している人も知らないうちに外国産のものを食べてしまっている、からです。スーパーで売っている野菜のほとんどが国産であるのに対して、外食や中食(惣菜)チェーンでは外国産の野菜がたくさん使われています。なぜなら、「表示しなくてもいいから」。消費者に実情を見せることが大事であるのと同時に、「文句だけは言うけど結局は安いものしか買わない消費者の意識を変える」ことが必要だと思います。

とはいえ、おそらくなにか大きなことがないと難しい。こんなことが起きては大変ですが、世界中で異常気象のために日本への輸出がストップしたときに初めて、日本人が自国で食料を生産することの重要性に気付くのだと思います。痛い体験をしないと変われないのはなににおいても同じか。

                        五代目見習い 彰浩