連日、酒蔵は活気に包まれています。今日は麹作りの工程をご紹介します。

麹



















≪蒸し上がった米を均一に広げて冷ます≫

今日の蒸しは素晴らしかった。パラパラと硬めで、噛み締めるとしっかりとした歯ごたえの中に適度な弾力がありました。私が味を見た中では今年一番の蒸し上がり。まさに外硬内軟!

これを均一の厚みに広げます。蒸し立てですから、湯気でレンズが曇る曇る。春から秋にかけては米作り担当の伊藤、今井コンビは冬には酒蔵で大活躍!

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≪種麹を振る≫

これは今井の仕事。手で蒸し米の温度を測ってから種麹を振ります。種麹は黄麹(きこうじ)菌とよばれるカビを木灰と蒸米の上で繁殖させたのち、胞子を選別、乾燥させたものです。麹菌を蒸した米粒内に繁殖させることによって、アミラーゼ(糖化酵素)がデンプンをブドウ糖に分解(糖化)します。では、なぜ米を蒸すのかというと、麹菌は生の米粒を糖化することはできないから。

うーん、説明が難しいというか、ヘタですね。ちなみに、種麹は「もやし」とも呼ばれます。なぜなら、麹菌が発芽後、白っぽい菌糸を伸ばしていく様は、まさに「もやし」(sprout:新芽)のようだから。ちなみに正式名称はAspergillus oryzae。学生時代にテストに出ました。

もうひとつ余談。日本酒は黄麹菌で仕込むのに対して、焼酎や泡盛は白麹菌や黒麹菌を使います。なぜなら、糖化するときにクエン酸を生産し、仕込み液のpHを酸性へと傾けることによって、雑菌の繁殖を抑えることができるからです。これが焼酎や泡盛が南国で、しかも年間通して醸造できる要因。また、近年までの芋焼酎ブームの火付け役となった富乃宝山がフルーティな香りによって芋焼酎のイメージをかえたのは黄麹菌を使って低温で仕込んだから、というのは有名な話です。吟醸香というか、柑橘系の香りを出した画期的な芋焼酎だったわけです。

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≪混ぜる≫

種麹の菌糸がひと粒ひと粒に行き渡るよう、丁寧に混ぜていきます。このときに、もしベチャベチャのお米だったら均一には混ざりません。また、2日後、出来上がった麹を室から出したとき(出麹)には、米粒同士がカリカリに、まるで金平糖のようにくっついた状態になってしまいます。これは麹菌が米内部まで繁殖していないことを意味しており、糖化がうまく進まない大きな要因となります。もちろん、まだまだ麹造りにはいろんな要素があります。

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≪走る、走る、走る≫

今日は蔵人さんが一人、お休みだったため、杜氏の藤本が走ります。種麹を振った蒸し米を麹室に引き込みます。急いで急いで、これは時間との戦い。

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≪温度が大事≫

種麹を振った蒸し米には、これから46時間ほど麹室で過ごしてもらうわけですが、そのときの温度がすごく大事。麹室に引き込んだ直後の温度は32度前後にする必要があります。そのため、台車での移動距離やその日の温度などを計算に入れて仕事をする必要があるのです。

と、まぁ、このように書いてみましたが、酒蔵での仕込はすごく複雑なため、なかなか説明しても理解し難いかと。いや、説明し難いわけで。今日はこれで勘弁してください。

お陰様で、今のところ順調に進んでいますことをご報告しておきます。

                       五代目見習い 彰浩