金曜日の仕事のご報告です。木村さんの奇跡のりんごから出来た酒がこれから酢に変わります。

りんご酢の植菌


























≪植菌の準備≫

搾ったりんご酒と種酢(前年仕込んだ、にごり林檎酢)を混ぜます。富士酢等、通常の酢の仕込みでは、アルコール濃度を薄める目的で仕込水(酒蔵の井戸水)を加えます。しかし、この、にごり林檎酢には一滴の水も加えません。だからこそ、フレッシュなりんごの香りと旨味溢れる酢ができるわけです。

おそらく、こんな酢は世界中探してもないはず。いろんなメーカーの果実酢
のほとんどは海外の濃縮果汁からたった24時間程度の発酵時間で造る訳ですから、当たり前の話ですが。ええもんを造るには、ええ原料をたっぷり使うこととじっくり時間と手間をかけること。

りんご酢の植菌2
























≪酢の杜氏、相見≫

酢の発酵は相見がいてくれるからこそ。うちの蔵では出荷責任者の井本と共に一番のベテランです。正月休みなども発酵の様子をチェックに来てくれたり、しっかりとした仕事をしてくれます。

発酵の際の配合(通常は種酢、酒、水)は社長か私と相見で相談して決めるのですが、酸度やアルコール度、Brix(糖度)などの分析値から出来上がりの予想数値まで出してくれるので、話が確実で早いんです。

では、いよいよ植菌です。

りんご酢の植菌4



















りんご酢の植菌5



















りんご酢の植菌6



















≪植菌の瞬間≫

富士酢を発酵しているところから、ステンレスの網で酢酸菌膜をすくい取り、移植します。膜が沈んでしまわないように、慎重に慎重に、ゆっくりと網を揺らしながら浮かべていきます。

りんご酢の植菌7



















≪保温≫

ムシロで覆えば終了。あとは4、5日後に全体に膜を張ればひと安心。にごり林檎酢の場合、酢酸菌はもがき苦しみながら発酵します。というのも、木村さんの濃いりんごの水分は、いわば菌にとっては栄養過多の状態だから。このストレス環境下での彼ら(菌)のがんばりに期待します。

                       五代目見習い 彰浩