昨晩は重石の重量でじっくりと酢を搾りました。今朝はもう少し圧をかけていきます。といっても、機械でプレスするわけではないので、浸み出してくる量が少ない分、嫌な苦みやえぐ味は少ないはず。

富士玄米黒酢の搾り21































≪搾り槽(ふね)≫

2本の棒をかまして、いよいよ締め上げていきます。
富士玄米黒酢の搾り22

















富士玄米黒酢の搾り23

















富士玄米黒酢の搾り24

















富士玄米黒酢の搾り25
















≪4人で≫

「せぇーのっ」という掛声と共に締め上げていきます

これ、綱引きと一緒で、力の強い人がいたとしても息が合ってないと大きな力が伝わりません。何度も何度もこの作業を繰り返すわけです。

また、40分くらい経ったら再度、締め上げる。なんせ人力ですから、油圧式のようにはいきません。それはそれで発酵終了を実感することができるわけです。

ところで、この搾り槽(フネ)という道具の渋い美しさには飽きがきません。いつ見ても、ええなぁ。それも、静かに置かれているときよりも、動いているときのよさはこの場にいないとわかりません。幼いころは、ギシッギシッという音の中、ときおり交るビッという高音に「壊れるんちゃう?」と心配になったもんです。

というわけで、いろんな角度から写真を撮ってみました。ご覧ください。

富士玄米黒酢の搾り26
































富士玄米黒酢の搾り27
































富士玄米黒酢の搾り30
































富士玄米黒酢の搾り28





























富士玄米黒酢の搾り29
































≪槽≫

なんか、ええ感じでしょ?

これが壊れたらどうしよう。このサイズのものを造ってもらうとなると大変そうです。酒蔵でもこれを使って搾っているところはあまりありません。また、大吟醸などの特別な酒のときしか使われていません。しかも、ステンレスなどの素材でできており、油圧式で圧搾するのがほとんど。現役で活躍しているこの搾り槽はおそらく、うちの蔵だけでなく、日本の醸造文化を残すことにおいても意味があると思います。

まだまだがんばって働いてもらうために、使わないときには柿渋を塗るなど、手入れしています。これからも彼に期待。

さて、これで富士玄米黒酢の出来上がり、ではありません。まだ発酵が終わっただけ。この後、熟成蔵に移動し、タンクからタンクへ移し換えながらオリ引きや空気に触れさせることを10回ほど繰り返し、1年以上寝かせてやっと皆さんのお手元に届きます。まだまだ先の話です。

                     五代目見習い 彰浩