京都は東寺のほど近くで100年以上にわたり、鰹節と昆布を中心に上質な天然素材のみを使用した「本物だし」の製造と販売を続けておられる「おだしのうね乃」さんに私と秋山の2人で伺いました。というのも、飯尾醸造ではこちらの利尻昆布と枕崎の鰹節を使わせていただいているから。

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<うね乃さん外観>


正面の入口を入るとすぐに店舗が設けてあり、様々なおだしに関する商品がディスプレイされています。

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<店舗>


店内の雰囲気はとても明るく、スタッフの方々も皆さんとても丁寧に応対して下さいました。ただ照明が明るいとかではなく、その場の空気自体が明るいという感じです。変な言い方かもしれませんが、「ほっこりとした、とても居心地の良い空間」でした。

そして、店舗奥の壁には伏見稲荷大社はじめ、そうそうたる神社仏閣御用達の立看板が。

うね乃2アップ


その後、店舗奥の加工場へ。ここでは、鰹節の削りから検品、パック詰め等の工程を見せていただきました。鰹節を削る機械は、割と旧式のものを使用しておられます。社長さん曰く、仕上がり具合の微調整などが細やかに出来、最新式のものよりも使い勝手が良いため、敢えてそうされているとのこと。
ここにも老舗のこだわりを感じます。削り後の検品についても、全て人の手でひとつひとつ丁寧に行われていました。

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<色々な種類の節>


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<削り機>

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<削り工程>

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<削り終えた削り節>

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<人の手による検品作業>

続いて別室にて采野社長より、原材料の調達からおだしの引き方の良し悪しまで、おだしについて色々なお話を伺いました。うそ偽りのない「本物」を造り続けたい。その熱く真摯な想いがひしひしと伝わってきました。

「本物を造る」というのは一見当たり前のようですが、今の時代そう簡単なことではありません。それは弊社の酢造りにも通ずるところがある! 心の中でそう思いながらお話を聞いた私でした。

お話の途中で紙コップのお湯に昆布を浸したものに削り節をサッと入れただけの
ものを「味を見てみて」と言われ、飲んでみたところ「おいしい!」。
「おだしの他に何か味付けされてるんですか?」と思わず秋山と二人で聞き返して
しまうほど。もちろん、だし以外何も入っていません。
「これが本物のおだしの味なんです」と采野社長。まるで上品なおすましのようで、二人ともすっかり飲み干してしまいました。
そして、「料理を建物に喩えるなら、だしは地面。それがしっかりしていればその上に建つ建物もしっかりと建つ。余計なものでごまかしたりするとバランスを崩し良いものはできない。」とも。

うーん、確かに。本物だしの「魅力=味力」に唸った二人でした。
そんな本物素材を使って「富士すのもの酢」「富士ゆずぽん酢」を造っている私。どこまで本物に近付けるか、日々精進です。

采野社長そして出野さんならびにスタッフの方々、お忙しい中、時間を割いていただき、有難うございました。

蔵人  三好