麹室(むろ)に引き込んだ蒸し米、この日は少し温度が高かったため、床(とこ)全体に均一に広げて温度を下げます。


≪広げて冷ます≫
私どもの蔵では、32度くらいで室に引き込んでいます。初期温度が高いと、米粒の表面だけで麹菌が繁殖してしまうため、いい麹ができません。また、温度が低すぎても麹菌の繁殖スピードが遅くなるため、初期温度はすごく大事なのです。
300キロ近く?にもなるご飯の塊を広げていくことはけっこうな重労働。でも、けっこう好きな仕事のひとつです。
≪広げて冷ます≫
私どもの蔵では、32度くらいで室に引き込んでいます。初期温度が高いと、米粒の表面だけで麹菌が繁殖してしまうため、いい麹ができません。また、温度が低すぎても麹菌の繁殖スピードが遅くなるため、初期温度はすごく大事なのです。
300キロ近く?にもなるご飯の塊を広げていくことはけっこうな重労働。でも、けっこう好きな仕事のひとつです。
適正な温度になったら、大きな塊にしていきます。



≪盛り上げ≫
大きな塊にすることで、これ以上温度が下がらないようにします。また、必要以上に水分が抜けないようにするためでもあります。この上に毛布を何枚もかけてやります。麹を造ることは、赤ちゃんを育てるみたいに大事に大事に、丁寧に丁寧に扱う必要があります。この仕事が終わるのは14時過ぎ。

≪温度の確認≫
その後は数時間おきに温度を確認します。例えば、温度が高すぎる場合は夜中であっても塊をほぐして温度を下げる。こういう仕事があるから、酒蔵に泊まりこむ必要があるわけです。






≪切り返し≫
翌朝、いよいよ蒸し米を広げていきます。ブンジと呼ばれる木の道具を使って、塊をほぐしていきます。これ、かなり固いので、女性には難しいかも。
でも、小さな塊をほぐしていく作業は女性でも大丈夫。水分が適度に抜けた米はパラパラと気持よくほぐれます。見た目も少し白っぽくなり、麹菌が繁殖してきたことを確認することができます。


≪念入りにバラす≫
切り返し機にかけてパラパラにほぐしたら、簡易製麹機に入れます。契約農家や自分たちが農薬を使わずに作った米だからこそ、ひと粒ひと粒を無駄にしないように。このへんは醸造だけやってるメーカーとは考え方が違うのかもしれません。


≪盛り、仲仕事≫
品温が一定になるよう、厚みを同じにしてから、手を入れていきます。この作業も温度を均一に保つため。そして、また厚みを揃えます。また、数時間後、温度を見ながら行うこの作業を仲仕事といいます。
麹菌の繁殖スピードは様々な要素で異なるため、温度や湿度、見た目、香りなどから判断します。これは麹屋と呼ばれる、麹造りの責任者である今井の経験と勘。
ちなみに、この仕事が毎日、行われています。だからこそ、手作業で麹を造っているお酢屋がほとんどないのです。できあがった麹を買えば、このような作業はもちろん、設備をもつ必要もありません。一度、そのやり方をしてしまうと、もう元には戻れないのでしょう。そして、いつの間にか、日本の酢造り伝統の技がなくなってしまったのでした。悲しいもんです。しかも、そのような酢が富士酢と同等か高い価格で販売されている現状をみると、「ようさん利益が出てそうやなぁ」と羨ましくもなります。とはいえ、ウチはみんなで麹造りを続けていきます。
では、続きはまた後日。
五代目見習い 彰浩
≪盛り上げ≫
大きな塊にすることで、これ以上温度が下がらないようにします。また、必要以上に水分が抜けないようにするためでもあります。この上に毛布を何枚もかけてやります。麹を造ることは、赤ちゃんを育てるみたいに大事に大事に、丁寧に丁寧に扱う必要があります。この仕事が終わるのは14時過ぎ。
≪温度の確認≫
その後は数時間おきに温度を確認します。例えば、温度が高すぎる場合は夜中であっても塊をほぐして温度を下げる。こういう仕事があるから、酒蔵に泊まりこむ必要があるわけです。
≪切り返し≫
翌朝、いよいよ蒸し米を広げていきます。ブンジと呼ばれる木の道具を使って、塊をほぐしていきます。これ、かなり固いので、女性には難しいかも。
でも、小さな塊をほぐしていく作業は女性でも大丈夫。水分が適度に抜けた米はパラパラと気持よくほぐれます。見た目も少し白っぽくなり、麹菌が繁殖してきたことを確認することができます。
≪念入りにバラす≫
切り返し機にかけてパラパラにほぐしたら、簡易製麹機に入れます。契約農家や自分たちが農薬を使わずに作った米だからこそ、ひと粒ひと粒を無駄にしないように。このへんは醸造だけやってるメーカーとは考え方が違うのかもしれません。
≪盛り、仲仕事≫
品温が一定になるよう、厚みを同じにしてから、手を入れていきます。この作業も温度を均一に保つため。そして、また厚みを揃えます。また、数時間後、温度を見ながら行うこの作業を仲仕事といいます。
麹菌の繁殖スピードは様々な要素で異なるため、温度や湿度、見た目、香りなどから判断します。これは麹屋と呼ばれる、麹造りの責任者である今井の経験と勘。
ちなみに、この仕事が毎日、行われています。だからこそ、手作業で麹を造っているお酢屋がほとんどないのです。できあがった麹を買えば、このような作業はもちろん、設備をもつ必要もありません。一度、そのやり方をしてしまうと、もう元には戻れないのでしょう。そして、いつの間にか、日本の酢造り伝統の技がなくなってしまったのでした。悲しいもんです。しかも、そのような酢が富士酢と同等か高い価格で販売されている現状をみると、「ようさん利益が出てそうやなぁ」と羨ましくもなります。とはいえ、ウチはみんなで麹造りを続けていきます。
では、続きはまた後日。
五代目見習い 彰浩
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