先週、偶然にも2人の方から、無添加調味料や無添加ダシについて聞かれました。

「安部司さんの講演を聞いて以来、〇〇っていう無添加ダシを使っています」

「飯尾醸造さんのように無添加で製品を造られている〇〇さんという会社、すごく成長してますよ」

と。
お一人は一般の方、もう一人は仕事関係の方です。お二人とも同じ製品を「無添加の良品」として認知されていました。なぜなら、ラベルにはデカデカと「化学調味料・保存料 無添加」と書いてあるからです。

ただ、私にとって、〇〇は無添加ではありません。日本農林規格(JAS)上、酵母エキスやタンパク加水分解物は添加物ではない、という抜け穴を利用した製品。常識的、道徳的に考えた場合、明らかに添加物です。

こういう生産者はマーケティングがうまく(巧妙)、「添加物を使っていない」という表現をラベルに大きく書くことで、安心感を与えているとしか思えません。少なくとも、飯尾醸造が酵母エキスを使った酢を造ったなら、一部のお客様からお叱りの電話やメールをいただくことになるでしょう。

酵母エキスやタンパク加水分解物を使うことによって、消費者は安価で(人工的な)旨みを手に入れることができます。一方、製造者は、簡単に安価で商品をつくり、利益を出せるという旨みを得ることができます。

飯尾醸造が添加物を使うようになったら、たぶん、売上も利益も増えます。でも、売上以上に大切な長年支えてくださったお客様を失うことになるでしょう。私どもはこれからも自分たちの道徳観による無添加製品だけを造り続けます。

                  五代目見習い 彰浩