宮津は海の街です。蔵の敷地から10歩で海、というとどのくらい近いか、わかっていただけると思います。

そんな海辺で育った私たちは、魚の保存食を食べることはほとんどありません。朝、港に揚がったコリッコリの鯵を刺身。半透明のイカをさっと炊いて。太刀魚を三枚に下ろし、大葉を巻き込んで天ぷらに。うーん、考えると、おなかがすいてきます。

こんな贅沢な環境なため、魚の干物を食べることはほとんどありませんでした。たまに、ハタハタの一夜干しを食べるくらいでしょうか。

でも、高校の同級生、谷口君がこの店を開いてからは、魚のもつ別の魅力に目覚めたのでした。

カネマスの一刻干し


≪カネマスの七輪焼き≫

えっ? 干物の概念が変わります、しっとりジューシーな身質に。

保存のために干したのではなく、美味しくするために手間をかける。
ここの魚は一夜干しならぬ、一刻干し。つまり、2時間ほどしか干していないため、身質がしっとり、ジューシーで、且つ自然な旨みが乗っています。塩を振ったり、塩水に魚を漬ける代わりに、昆布だしで漬けるそう。旨みをたくさん出すために、純米富士酢も一役買っています。

しかも、天日干しでは魚の脂が酸化してしまうため、工房の二階で扇風機の風で乾燥しているのです。

詳しくはこちら。冷凍と冷蔵の2種類から選べます。冷蔵のものは日持ちしないことがホンモノの証拠。

頑固というか、融通のきかない彼だからこそ、一切の妥協なく作っています。自らが漁港に買い付けに行くのですが、トロ箱で大量買いせずに、一匹ずつ、いい形のものだけを買っています。

友人のものだからといって、美味しくないものは紹介しません。ご安心ください。私がホレこんでいる魚です。季節によって、旬の魚が違いますので、ぜひ電話で相談してみてください。

 カネマスの七輪焼き 0772-22-3297

          五代目見習い 彰浩