小さなお酢屋であることは自覚しています。

でも、小さくても「きっかけをつくる」ことに徹することで、世の中や地域を少しずつ変えることができると信じてやってきました。

『ピクル酢』を開発したきっかけはフードロスを減らすこと。農水省の資料から日本人がたくさんの食べものを捨てていることを知ったから。とはいえ、飯尾醸造のような小さなお酢屋が新製品をつくったところで社会へのインパクトはゼロに等しい。だからこそ、ピクルスを漬けることが楽しくて美味しくてお洒落、っていう空気をつくることを意識してやってきました。その後、大手の食酢メーカーさんが類似品を発売してくれたお陰でピクルス市場が拡大し、ちょっとだけ野菜のフードロスに貢献できたのではと、ちょっとだけ自信になりました。

今回この計画を実行する理由は、「みんながポジティブに行動すれば、地域は変わる可能性がある」ということを証明したいから。もちろんうまくいくかはわかりません。でも、やってみる価値はある。誰かが動き出せば、次の人も一歩を踏み出しやすいはず。だからこそ、まずはウチがリスクを背負って古民家を買い取りました。

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≪築120年の古民家≫

明治20年代に登記された古民家をできる限りオリジナルのまま修復することは丹後の歴史や生活を伝える上で大事なこと。宮津カトリック教会や三上家住宅と同様、昔の丹後の空気を残しつつ、商業用として家族や大事な仲間と食事をとっていただる空間にリノベーションします。

ちなみにこの古民家をリノベーションすることは私が言いだしっぺではありません。
2年前、地元の先輩である設計士から、BARやってくれへん? とのお誘いいただいたのが最初。この建物を残したいという想いの下、自分の仕事を犠牲にして奔走された先輩なしにこの計画はありませんでした。他にもオシャレ家具屋の先輩建材やキッチンを扱う親友の姿を近くで見ていたからこそ、私も動かねばという気持ちになったのです。当初は4軒のテナントが決まれば、ある不動産屋がここを購入・改築した上で賃貸してくれるというスキームでした。ところがひとつが決まるともうひとつがキャンセルになり、一進一退の時間が続きました。頓挫する寸前までいったのですが、私の両親にも相談し、結果的に飯尾醸造がすべてを引き受けることになったのです。

また、この計画をお伝えした佐藤さんにはまだできていない鮨屋のことを「ベストレストラン」としてメディアに紹介いただいたり。ほんまにありがたかったです。この記事が不退転の覚悟を後押ししてくれました。

その意味においても、「2025年に丹後を日本のサンセバスチャンにする」という計画が、たくさんの方の想いや期待、行動とともに進んでいることは事実です。

長くなりましたが、こんなことを企てています。

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≪企画書≫

これをご覧になった方が、「おっ、丹後おもしろそうやな」と旅行に来ていただけるようになればこっちのもんです。そのためにも2017年7月のオープンに向けてがんばります。

小さなお酢屋ができることはたいしたことありませんが、「きっかけをつくる」ことに関しては図体の大きさはあんまり関係ないと信じています。飯尾醸造の蔵人や地元・丹後の方々はもちろん、日本中の協力者のみなさまとともにワクワクするような街を目指してがんばります。

ホンネを言えば、自分が地元で美味いもん食べたいだけなのよね。

       五代目 彰浩

古民家の写真はこちら。
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