酒蔵の冬が終わりました。

お世話になっております。
蔵人の三原です。

1月から始まった酒造りも一段落いたしました。
酒蔵裏手の神社には桜が綺麗に咲いております。

この3カ月、思い返せば長いような短いような、しんどいような楽しいような、不思議な気持ちであります。
今年は富士酒という新しい試みもあり、新人ながら貴重な経験をさせて頂きました。

酒蔵勤めで何がしんどいかといえばずばり早起きであります。
私的なことですが、私は朝が苦手なのです。
陽も差さぬ午前5時、暖かな布団を抜け出し極寒の酒蔵へ。
一仕事すませ朝食、そしてまた仕事へ…
先輩蔵人の藤本杜氏と今井はテキパキとこなしていましたが、３度の飯より睡眠大好きな私にはとても辛うございました。
休憩中、ついうとうとしてしまったことも…

しかし、辛いことがあれば楽しいこともあるものです。
日々元気に発酵していくお酒達。
ほのかに漂う甘い香り。
しゃわしゃわと囁くような音。
対流で表面が動く様はいつまでも見ていられます。
そして何よりの楽しみは、出来上がったお酒を搾る時であります。

とても綺麗ですね。ほっこりいたします。
この搾りたてのお酒を飲んだらもう最高であります。
睡眠よりもお酒が大好きな私には至福の時です。
別に遊びで飲んでいるわけではありません。
食品製造における最重要工程、味見のためどうしても飲まなければならないのです。
新人ゆえ一口では判断がつかないので、二口飲んだとしても仕方ないのです。味を確実に覚えるためもう一杯飲むのも已むを得ません。
仕事なのです。酒盛りをしているわけではないのです。酒泥棒ではないのです…

真面目な話、お酢になる醪とはいえ、いやだからこそ原料の時点で何かあってはいけないので、味の確認は大切であります。
どんな味かは、富士酒を飲んで頂いた方は分かってくださるかと思います。
気になる方は、アチェートにご来店くだされば味わって頂けます。(宣伝)
※味については、人それぞれ好みがございますので、お口に合うかは保証しかねます。ただし、私は好きなお酒であります。

自分が造りに関わったお酒がこの世に存在している、というのは、一介の酒好きとして特別な感情を覚えずにはいられません。
そしてそれがお酢になることで、お酒を嗜まれない方にもお届けできることは感無量です。

今年のお酒がお酢としてお客様に味わって頂けるのはまだまだ先のことですが、その日を楽しみに励んで参ります。

蔵人　三原